切り抜きチャンネルを始めようとすると、多くの解説記事はまず「編集ソフトの選び方」から入ります。ですが実際に運営してみると、結果を左右するのは編集より手前の判断でした。

この記事では、編集を覚える前に決めておくべき3つを順番に整理します。

1. 誰を切り抜くか

最初に決めるのはこれです。そして、ここでほぼ決まります。

判断の軸は2つ。

  • その配信者を切り抜いている競合が何チャンネルあるか
  • その配信者に今後も配信の蓄積があるか

競合の数は、YouTubeで配信者名と「切り抜き」で検索すれば数えられます。すでに何百チャンネルもある対象を選ぶと、同じ素材から同じような動画が量産されている中に後から入ることになります。

このサイトの運営者が2021年に参入したときは、対象の配信者を切り抜くチャンネルが60〜100チャンネル、最も古いチャンネルの開始が数ヶ月前という状態でした(体験談)。競合の数を最初に数えたことが、その後の結果につながっています。

2. 許諾をどう取るか

切り抜きは他人が作った配信を素材にします。したがって元配信者の許諾が出発点になります。

許諾の形は配信者によってさまざまです。

  • 切り抜きを公式に許可し、条件を公開している配信者・事務所がある
  • 個別に連絡して許可を得る必要がある配信者もいる
  • 許可していない配信者もいる

事務所所属の配信者の場合、事務所が切り抜きガイドラインを公開していることがあります。必ずその配信者・事務所の公式の案内を確認してください。一般論で判断せず、対象ごとに確認するのが唯一の方法です。

許諾を得たら、その内容を保存しておくことをおすすめします。許可の範囲(収益化してよいか、どの配信が対象か、クレジット表記の要否)は後から問題になりやすい部分です。

3. 素材をどう入手するか

見落とされがちですが、許諾とは別に、素材の入手方法そのものに規約上の論点があります

YouTubeの利用規約には、次の記載があります。

本サービスまたはコンテンツのいずれかの部分に対しても、アクセス、複製、ダウンロード、配信、送信、放送、展示、販売、ライセンス供与、改変、修正、またはその他の方法での使用を行うこと。ただし、(a)本サービスによって明示的に承認されている場合、または(b)YouTube および(該当する場合)各権利所持者が事前に書面で許可している場合を除きます。

つまり、YouTubeが明示的に認めている方法か、権利所持者の事前の書面による許可がある場合を除いて、コンテンツのダウンロードは認められていません。同じ規約には、他のユーザーのコンテンツを使えるライセンスについて「本サービスの機能によってのみ可能な方法」でと書かれており、続けてこう明記されています。

明確にするために付記すると、このライセンスは、本サービスと独立した方法でコンテンツを使用する権利や権限を与えるものではありません。

「変換サイトでダウンロードする」という手順を紹介している解説記事は多くありますが、このサイトではその方法を案内しません。素材の入手方法は、元配信者・事務所から得る許諾の範囲に含めて確認してください。切り抜きを許可している配信者や事務所は、素材の扱いについても案内していることがあります。

作るものは3つ

ここまで決まれば、あとは制作です。切り抜き1本に必要なものは3つに整理できます。

作るものポイント
動画本体話の区切りでカットし、テロップを付ける。字幕量が多くなるため、自動テロップの有無が作業時間を大きく変える
サムネイル最も時間をかける価値がある(後述)
タイトル・説明文収益化審査ではチャンネルの説明・動画のタイトル・説明文も確認対象になる

サムネイルに時間をかける理由

運営していたチャンネルのアナリティクスでは、数万再生以上まで伸びた動画の8〜9割がホーム画面のおすすめ経由でした。検索から来る人は少数派です。

おすすめに表示された後にクリックされるかどうかは、サムネイルとタイトルで決まります。つまり、動画の中身より先に、サムネイルが再生数の上限を決めていることになります。編集を磨くより、同じジャンルで伸びている動画のサムネイルを研究するほうが効きます。

収益化までの道のり

収益化には2つの関門があります。

  1. YouTubeパートナープログラムの数値条件(登録者数と再生時間。登録者500人で視聴者ファンディング、1,000人で広告収益の2段階)
  2. 「再利用されたコンテンツ」の審査

切り抜きは定義上「すでに存在するコンテンツの再利用」なので、2つ目が本当の関門になります。そして元配信者の許可を得ていても、この審査で止まりうるとYouTubeが明記しています。

詳しくはYouTube切り抜きチャンネルは収益化できるのかで、公式ポリシーの原文をもとに整理しています。

収益が出たら、手続きが必要になる

収益化を達成すると、次は税務の話になります。切り抜きの収入がいくらから確定申告の対象になるか、開業届をいつまでに出すのかは、YouTube切り抜きチャンネルの開業届の出し方から順に整理しています。

「開業から1ヶ月以内に開業届」と書いている記事が多くありますが、法令・国税庁の案内・様式のいずれもそうは書いていません。稼ぎ始めてから慌てないよう、先に目を通しておくことをおすすめします。

まとめ

  • 編集ソフトより先に決めるのは誰を切り抜くか。競合が何チャンネルあるかを数える
  • 許諾は対象ごとに確認する。事務所がガイドラインを公開していることがある。許可の範囲は保存しておく
  • 素材の入手方法にも規約上の論点がある。YouTubeの利用規約はダウンロードを原則認めていない。許諾の範囲に含めて確認する
  • 作るのは動画・サムネイル・タイトル/説明文の3つ。流入の大半はおすすめ経由なのでサムネイルが効く
  • 収益化には数値条件と再利用コンテンツ審査の2つの関門がある