Kindle出版で最初に手が止まるのは、たいてい原稿の形式と目次です。

しかもここは、日本語だと海外の解説がそのまま通用しません。理由から順に整理します。

Kindle Createは日本語の本に使えない

Kindle出版の解説では、Amazon純正の編集ツール Kindle Create を使う手順がよく紹介されます。原稿を読み込んで章立てと目次を自動で整えてくれるツールです。

ところがKDP公式の「目次を作成する」には、こう書かれています。

Kindle Create は日本語の本はサポートされていません

ここを知らずにKindle Createを入れて、日本語の原稿で詰まる人が多いところです。

つまり日本語の本では、Wordで作って自分で目次を用意するのが基本の道になります。KDPが対応形式として挙げているのは、Word(DOC/DOCX)、EPUB、KPF、HTML、RTF、TXTなどです(PDFは英語など限定言語のみ)。日本語で普通に選べるのは実質、WordかEPUBの2つです。

日本語の原稿をどう作るか

どの道を選ぶか

  • Wordで書いている・書ける

    DOC / DOCX をそのままアップロード

    いちばん手数が少ない道。ただし目次は自分で用意する。

  • EPUBを作る環境と知識がある

    EPUBでアップロード

    『Kindle パブリッシング・ガイドライン』の仕様に準拠したものが対象です。

  • Kindle Create を使うつもりだった

    日本語の本はサポート対象外

KDP公式「電子書籍の原稿に対応しているファイル形式」の記載に基づく整理です。

目次は2種類ある

ここも誤解が生まれやすい部分です。KDP公式は目次を2つに分けて説明しています。

目次ページ(HTML目次):本の先頭にあるページで、各章へのリンクが付いています

Kindle インタラクティブ目次(NCX とも呼ばれる):Kindle メニューに表示され、どこからでも本にアクセスできます

2つの目次の役割の違い

目次ページ(HTML目次)

本の先頭。最初に開いたときに全体の構成が見える

Kindleインタラクティブ目次(NCX)

Kindleのメニューから開く。読んでいる途中どこからでも飛べる

片方だけだと、読者の移動手段が半分になります。

読んでいる途中で章を移動したい読者が使うのは後者です。目次ページだけ作って満足すると、メニューからの移動ができない本になります。

なお論理目次について、KDP公式は「最新の端末で最も快適な操作を提供できるナビゲーション ドキュメントを使用することが強く推奨されます」としています。EPUBを自分で作る場合はそちらの手順を確認してください。

Wordで目次を作る手順

KDP公式が案内しているWord(PC版)での手順は3段階です。

Wordでの目次の作り方(KDP公式の手順)
  1. 1

    章タイトルに「見出し 1」スタイルを適用する

    章タイトルをハイライトして「見出し 1」を適用し、全章に繰り返す。手で大きくするのではなく、スタイルを使うのが要点。

  2. 2

    「参考資料」タブから目次を挿入する

    設定で「ページ番号を表示する」のチェックをオフにし、「アウトライン レベル」を「1」にする。

  3. 3

    目次に「toc」という名前のブックマークを付ける

    目次タイトルをハイライトして「挿入」→「ブックマーク」で、名前を toc にする。

Wordのバージョンによって画面は変わります。KDP公式ページで最新の手順を確認してください。

3つのうち、意味が分かりにくいのは1番目と3番目です。

なぜ見出しスタイルなのか。 文字を手で大きくしても、それは見た目だけで「ここが章の始まり」という情報にはなりません。見出しスタイルを当てておくと、その構造から目次を作れます。

なぜ「ページ番号を表示する」をオフにするのか。 電子書籍には固定のページ番号がありません。読者が文字サイズを変えれば位置が変わります。ページ番号を載せた目次は、その時点で意味を失います。

なぜ「toc」というブックマークなのか。 これはKDP側が目次の位置を認識するための目印です。名前が決まっているので、別の名前では働きません。

アップロード前にプレビューで見る

KDPはWordについて、次のように注意しています。

ほとんどのファイルは適切に変換可能だが、複雑な書式設定は問題が生じる可能性あり

そのうえで「Kindle Previewer で電子書籍が正しく変換されたか確認してください」と案内しています。

変換で崩れやすいところ
  • 見出しスタイルで作った章立て

  • 段落と改行だけの素直な本文

  • 凝ったレイアウト・段組み・テキストボックス

    端末の画面幅と文字サイズが可変なので、固定的なレイアウトは崩れます。

  • スペースや改行で作った見た目の調整

    文字サイズが変わると位置がずれます。

KDPが「複雑な書式設定」に注意を促している範囲の話です。何が崩れるかは原稿によって変わります。

電子書籍は紙と違って、レイアウトを固定できない前提で作るものです。凝るほど崩れやすくなるので、構造(見出しと段落)をきちんと作って見た目は端末に任せるほうが、結果として読みやすい本になります。

まとめ

  • Kindle Create は日本語の本をサポートしていない(KDP公式に明記)。日本語ではWordが基本の道
  • 目次は目次ページ(HTML目次)とKindleインタラクティブ目次(NCX)の2種類。役割が違う
  • Wordでの手順は見出し1スタイル → 目次を挿入(ページ番号オフ・レベル1)→ toc という名前のブックマーク
  • ページ番号を載せないのは、電子書籍に固定ページの概念がないため
  • アップロード前にKindle Previewerで変換結果を見る。凝ったレイアウトは崩れる

原稿ができたら、次はロイヤリティと価格の決め方です。全体の流れはKindle出版の始め方に戻って確認できます。