Kindle出版は、審査に通れば誰でも本を出せます。出版社に企画を持ち込む必要も、ISBNを取得する必要もありません。
そのぶん、出版社がやっていた判断を自分でやることになります。この記事では、1冊目を出すまでの流れと、途中で自分が決めることになる4つを、KDP公式の記載をもとに整理します。
手順そのものは画面の指示どおりで進みます。詰まるのは「決めること」の側です。
用意するものは2つだけ
原稿と表紙です。これに加えて手続き上、KDPのアカウント(Amazonのアカウントで作れます)と、印税の受取口座、それに税務情報の登録が必要になります。
税務情報の登録は後回しにしないほうがいい部分です。手続きをしていないと米国の源泉徴収税が既定の30%で適用されるとKDPが案内しているためで、この点はKindle出版の開業届の出し方と体験談で扱っています。
- 1
原稿を作る
日本語ではWordが主な方法(後述)。対応形式はDOC/DOCX・EPUB・KPFなど。
- 2
表紙を用意する
自作でも外注でもかまわない。
- 3
KDPに登録して本の情報を入れる
タイトル・著者名・紹介文・カテゴリー・キーワード(最大7つ)。
- 4
原稿と表紙をアップロードしてプレビューで確認する
Kindle Previewerで変換結果を確認するようKDPが案内している。
- 5
価格とロイヤリティを決める
35%か70%か。日本の価格帯は後述。
- 6
出版を申請して審査を待つ
通常3〜10営業日
審査中は本を変更できない。
KDP公式ヘルプの記載に基づく流れです。画面の構成は変わることがあります。
出してすぐ並ぶわけではない
最初に知っておくと落ち着けるのがここです。KDP公式の「出版と審査」にはこう書かれています。
審査の完了にかかる時間は、提出した本の種類によって異なりますが、通常は 3 ~ 10 営業日です
さらに、審査を通って購入できるようになったあとにも時間がかかります。
本が購入可能になると、検索結果に表示されるまでに最大 72 時間かかります
つまり「出版ボタンを押した日に読者が検索で見つけられる状態」にはなりません。発売日を決めて告知する場合は、この幅を見込む必要があります。審査が長引く場合や差し戻される場合の話は、出版審査で止まるときで扱います。
決めること1 原稿の形式
ここが日本語のKindle出版で最初につまずくところです。
海外の解説では Kindle Create(Amazon純正の編集ツール)を使う手順がよく紹介されます。ところがKDP公式の「目次を作成する」には、こう書かれています。
Kindle Create は日本語の本はサポートされていません
Wordで原稿を書いている
DOC / DOCX をそのままアップロードできる
KDPは「複雑な書式設定は問題が生じる可能性」があるとして、Kindle Previewerでの確認を案内しています。
EPUBを作れる環境がある
EPUBに対応している
『Kindle パブリッシング・ガイドライン』の仕様に準拠したファイルが対象です。
Kindle Create で作りたい
日本語の本はサポート対象外
MOBIで出したい
固定レイアウトは2025年3月以降出版できない
KDP公式の注記です。新規で選ぶ形式ではありません。
KDP公式「電子書籍の原稿に対応しているファイル形式」の記載に基づきます。全形式の一覧は同ページで確認してください。
実務的な結論は単純です。日本語なら、Wordで書いてそのままアップロードするのが基本の道になります。ただし目次は自動でついてこないので、そこは手を入れる必要があります。作り方は原稿と目次の作り方で扱います。
決めること2 価格とロイヤリティ
Kindleのロイヤリティには35%と70%の2つがあり、選べる価格帯が違います。日本のマーケットプレイス(Amazon.co.jp)向けの希望小売価格は、KDP公式の記載では次のとおりです(いずれも税込)。
| ロイヤリティ | 希望小売価格(Amazon.co.jp・税込) |
|---|---|
| 35% | 99円 〜 20,000円 |
| 70% | 250円 〜 1,650円 |
70%のほうが有利に見えますが、条件が付きます。KDPは70%オプションについて、日本向けの価格設定ではKDPセレクトに登録されていることが必要としており、さらに70%では配信コストが差し引かれます。詳しくはロイヤリティと価格の決め方で扱います。
決めること3 KDPセレクトに入るか
KDPセレクトは、KDP公式の説明では「Kindle 本専用の 90 日間の無料プログラム」です。登録するとKindle Unlimitedに自動的に追加され、無料キャンペーン(最大5日間)やKindle Countdown Dealsが使えるようになります。
引き換えになるのが独占です。登録期間中はKindleストア以外で売れなくなります。日本向けの70%ロイヤリティの条件にもなっているので、価格の判断と一緒に考えることになります。判断材料はKDPセレクトに入るかどうかに整理しました。
決めること4 カテゴリーとキーワード
本の情報を入れる画面で、カテゴリーと最大7つのキーワードを設定します。KDP公式はキーワードについて「曖昧なキーワードは使用しないでください」として、『日本の世界遺産』という本なら「遺産」ではなく「富士山」「屋久島」のような具体的な語を挙げています。
ここは出したあとに読まれるかどうかに直結する部分なので、出しただけでは読まれないでまとめて扱います。
まとめ
- 用意するものは原稿と表紙。出版社との契約もISBNも要らない
- 審査は通常3〜10営業日、購入可能になってから検索結果に出るまで最大72時間
- Kindle Create は日本語の本をサポートしていない。日本語ではWordが基本の道
- ロイヤリティは35%(99〜20,000円)と70%(250〜1,650円)で価格帯が違い、70%には条件がある
- KDPセレクトは90日・Kindle Unlimited入り・キャンペーンが使える代わりに独占になる
次は、最初につまずく原稿と目次の作り方と、ロイヤリティと価格の決め方です。印税が入りはじめてからの手続きはKindle出版の開業届の出し方にあります。

