価格の画面まで進むと、KDPセレクトに登録するかどうかのチェックが出てきます。
入ると得なのか、それとも縛られるのか。 判断材料をKDP公式の記載で整理します。結論から言うと、これは損得の問題ではなく「Kindleストア以外で売る予定があるか」を先に決める問題です。
KDPセレクトの中身
KDP公式の説明はこうです。
KDP セレクトは、Kindle 本専用の 90 日間の無料プログラムです
費用はかかりません。登録すると付いてくるものが3つあります。
1Kindle Unlimited に入る
- KDPセレクトに登録する
満たすと: 読者が読んだページ数に応じてKDPセレクト グローバル基金からロイヤリティを得られる
2キャンペーンが使える
- KDPセレクトの登録期間中である
満たすと: 無料キャンペーン(最大5日間)または Kindle Countdown Deals(期間限定の割引価格)のどちらか1種類
3日本向けの70%ロイヤリティ
- 希望小売価格が70%の要件を満たす
- KDPセレクトに登録する
満たすと: 日本のマーケットプレイスで70%を選べる
KDP公式「KDP セレクト」「KDP セレクトの利点」の記載に基づきます。
KDP公式は登録の効果について「お客様の Kindle 本は自動的に Kindle Unlimited に追加されます」と記載しています。無料キャンペーンについては「最大 5 日間無料で提供します」、Kindle Countdown Deals については「期間限定の割引価格で提供します」としています。
ただし、この2つは併用できません。
90 日間の KDP セレクト登録期間中は、本の無料キャンペーン、または Kindle Countdown Deal (KCD) のいずれかを実施できます
1回の登録期間で使えるのはどちらか1種類だけです。
Kindle Unlimitedは読まれたページで決まる
ここが通常の販売と根本的に違うところです。KDPセレクトに登録した本がKindle Unlimitedで読まれた場合、ロイヤリティは売れた冊数ではなく読まれたページ数で決まります。
KDPはこれを KENP(Kindle Edition Normalized Pages) と呼び、「Kindle Unlimited (KU) で読者が初めて読み終えたページ数に基づいて」KDPセレクト グローバル基金から得られると説明しています。月のKENPの集計は翌月15日ごろに確定するとされています。
通常の販売
1冊売れたら、その価格に応じたロイヤリティ
Kindle Unlimited
読まれたページ数(KENP)に応じて基金から分配
KDP公式の説明に基づく整理です。基金の分配単価は月によって変動します。
この違いから言えることが1つあります。Kindle Unlimitedでは「買われたけど読まれなかった」が収入にならない代わりに、「最後まで読まれた」が長い本ほど大きく効く構造になっています。ただし1ページあたりの単価は基金の規模と全体の読了量で毎月変わるので、事前に金額を見積もることはできません。
引き換えになるのは独占
ここが判断の本体です。KDP公式の記載はこうです。
Kindle 本フォーマットの本は、登録期間中は Amazon の独占販売である必要があります。ただし、印刷版、動画、オーディオ、またはその他の形式の本は他の場所で引き続き販売可能です
独占の対象は「Kindle本フォーマット」で、紙・オーディオ・動画は対象外だと明記されています。
Kindleストアで売る
同じ本を他の電子書店(Kindle本フォーマット)でも売る
登録期間中は独占の対象です。
紙(ペーパーバック)を出す
公式が「印刷版…は他の場所で引き続き販売可能」としています。
オーディオブック版を他で売る
同じく対象外として挙げられています。
KDP公式「Kindle Countdown Deals」の記載に基づきます。判断は「損得」ではなく「他で売る予定があるか」です。
[!IMPORTANT] 同じ内容をPDFなど別の電子形式でnote・BOOTHで売れるかは、この記載だけでは判断できません。 公式の文は「その他の形式の本は他の場所で引き続き販売可能」としていますが、これが 「同一内容を別形式にしたもの」まで含むのかは書かれていません。やる前にKDPの規約で確認してください。 (当サイトは当初これを「できない」と書いていましたが、公式にその根拠は見つかりませんでした)
「他で売る予定がない」なら、独占は実質的な制約になりません。ここが分かれ目です。
判断はこう整理できます。
- 他で売る予定がない(Kindleだけで出す)→ 独占はコストにならないので、入るほうが選択肢が増える
- 他の電子書店やnoteでも売りたい→ KDPセレクトには入れない。日本向けの70%も選べなくなる
日本向けの70%とセットになっている
もう1点、日本で出す人には重要な事情があります。KDPは70%オプションについて、日本・インド・メキシコ・ブラジル向けの希望小売価格には「KDP セレクトに登録されていることが必要」と案内しています。
つまり日本の読者に70%で売りたいなら、KDPセレクトに入る必要があるということです。価格の話はロイヤリティと価格の決め方で扱っていますが、判断としてはひと続きになります。
途中で抜けられるか
KDP公式の「KDP セレクトの取り消し方法」に、期限が明記されています。
登録期間の開始から 3 日以内に登録を取り消すことができます。3 日間を経過した場合は、Amazon までお問い合わせください
自由に抜けられるのは最初の3日だけです。それ以降は問い合わせになるので、実務上は「90日は続くもの」として決めるのが安全です。あわせて次の制約も記載されています。
予約注文の Kindle 本を KDP セレクトに登録した場合、予約注文の Kindle 本が発売されるまで登録を取り消すことはできません
3日を過ぎたら自分の操作では抜けられません。登録は「90日決める」つもりで押してください。
そして90日の期間が終わると、既定では自動的に更新されます。KDP公式の「KDP セレクトへの登録方法」の記載です。
お客様の利便性のため、KDP セレクトに登録されている Kindle 本は、自動更新の設定を解除しない限り、すべて自動で更新されます
止めるには、本棚の「KDP セレクトの登録の管理」で「この本の KDP セレクトへの登録を自動更新する」のチェックを外します。独占をやめるつもりなら、次の90日が始まる前にここを外しておく必要があります。
まとめ
- KDPセレクトは90日間の無料プログラム。費用ではなく独占が引き換え
- 独占の対象はKindle本フォーマット。紙・オーディオ・動画は対象外と公式に明記されている
- 付いてくるのはKindle Unlimited入りと、無料キャンペーン(最大5日間)またはKindle Countdown Deals のどちらか1種類
- Kindle Unlimitedのロイヤリティは読まれたページ数(KENP)で決まる。冊数ではない
- 日本向けの70%ロイヤリティにはKDPセレクトの登録が必要とKDPが案内している
- 判断の軸は損得ではなく「Kindleストア以外で売る予定があるか」
- 自分で取り消せるのは登録開始から3日以内。それ以降はAmazonへの問い合わせになる
- 既定では90日ごとに自動更新される。やめるなら「自動更新する」のチェックを外しておく
次は出版審査で止まるときです。価格の話はロイヤリティと価格の決め方に戻れます。

