フードデリバリーの配達員には、働き始めた瞬間から確定している前提がひとつあります。あなたは雇われていない、ということです。
配達員は個人事業主という前提
多くのフードデリバリーで、配達員とプラットフォームの関係は雇用ではなく業務委託です。つまり——
- 報酬は給与ではない → 年末調整が無い
- 源泉徴収も原則されない → 税金は自分で申告して納める
- 開業届・確定申告・経費の記録は全部自分の側の手続き
「アルバイトの感覚で始めたら、実は個人事業主だった」が配達員の典型的なつまずきです。契約形態は各プラットフォームの規約で確認できます。
どこからが事業か
判定の軸は所得税基本通達35-2の注書き——「社会通念上事業と称するに至る程度で行っているか」で、帳簿書類の保存が重要な材料です。週末に数回だけなら雑所得側、継続的に稼働して報酬と経費の記録を付けているなら事業側に近づきます。
開業届はいつまでに出すのか
所得税法229条の現行条文です。
その事実があつた日の属する年分の所得税に係る確定申告期限までに、税務署長に提出しなければならない
「開業から1ヶ月以内」ではありません。青色申告承認申請書は1月15日までの開業はその年3月15日まで・以降は開業から2ヶ月以内(A1-8)で、こちらのほうが先に締まることがあります。
配達員には労災の特別加入がある
税務ではありませんが、配達員が開業届とセットで知っておくべき公的制度です。労災保険は本来労働者のための制度ですが、特別加入という枠があり、厚生労働省の案内のとおり対象が広がってきました——令和3年9月1日から自転車を使用して貨物運送事業を行う人(フードデリバリー配達員を含む)が加入できるようになり、令和6年11月1日からはフリーランス(特定受託事業者)全般に広がっています。
業務中のケガの補償は、雇用されていない配達員には自動では付きません。自分で入りに行く制度があることを、始める段階で知っておいてください(費用と手続きは経費の記事で触れます)。
扶養や失業給付が気になる場合
社会保険の被扶養者の判定は開業届の有無ではなく年間収入の見込み(自営業は必要経費控除後)です。失業給付の受給中に配達を事業として始めると「失業の状態」に当たらなくなるため、開業届の前にハローワークへ相談してください。
まとめ
- 配達員は個人事業主。年末調整が無く、申告も記録も自分の側
- 事業かどうかは「社会通念上事業と称する程度か」+帳簿の保存
- 開業届の期限は開業した年分の確定申告期限まで(229条)。青色申請のほうが先に締まりうる
- 労災の特別加入という公的制度がある(自転車配達員は令和3年9月から対象)
次は職業欄に何と書くか、収入の基準はいくらから確定申告が必要かへ。

