同人活動の「会社に知られたくない」は、ほかの副業と事情が違います。住民税の経路は手当てできますが、同人には税務と無関係の経路がもともと多く、しかも通販には法令上の表示義務があります。
先に結論を書きます。隠せるのは住民税の経路だけです。
同人の所得は自分で納付の対象側
同人の頒布による所得は事業所得または雑所得なので、確定申告書第二表の「自分で納付」の対象側です。並行してアルバイト給与がある場合、その分は原則合算です(給与にはこの欄が効きません)。
通販には表示義務がある
ここが同人でいちばん重い論点です。通信販売をする場合、広告に表示すべき事項が法令で定められています。 特定商取引法11条の柱書きはこうです。
販売業者又は役務提供事業者は、通信販売をする場合の商品若しくは特定権利の販売条件又は役務の提供条件について広告をするときは、主務省令で定めるところにより、当該広告に、当該商品若しくは当該権利又は当該役務に関する次の事項を表示しなければならない。
同条6号が「主務省令で定める事項」に委ねていて、その中身が施行規則23条1号です。
法第十一条第六号の主務省令で定める事項は、次に掲げるものとする。
一 販売業者又は役務提供事業者の氏名又は名称、住所及び電話番号
つまり通信販売の広告では、氏名・住所・電話番号の表示が求められます。同人誌の通販を始めるときに「本名と住所を出すのか」という問いに突き当たるのは、この条文があるためです。
イベントでの対面頒布
通信販売ではない
ただし公開の場での活動であることは変わりません。
自分のサイトやSNSでの通販
表示事項の対象になりうる
氏名・住所・電話番号を含む(規則23条1号)。
販売プラットフォーム経由
各サービスの案内を確認
表示の扱いはサービスごとに異なります。規約と案内が正です。
特商法11条・施行規則23条に基づく整理です。自分が「販売業者」に当たるかの判断は個別の事情によります。
[!IMPORTANT] 自分が「販売業者」に当たるかどうかは、当サイトでは断定しません。 特定商取引法に「販売業者」の定義規定は置かれておらず、営利の意思をもって反復継続して販売するかどうかという事業性の判断になります。年に数回の頒布がこれに当たるかは個別の事情によります。利用するサービスの案内と消費者庁の情報で確認し、迷う場合は消費生活センターや弁護士に相談してください。
ここで大事なのは、これは住民税の手当てとはまったく別の問題だということです。「自分で納付」を選んでも表示義務には何の影響もありません。
同人には税務と関係ない経路が多い
通販以外にも、同人は活動そのものが公開されています。
- イベントのサークル参加: 申込みと当選の情報、カタログへの掲載、当日その場にいること
- 頒布物そのもの: 作風・ジャンル・奥付の記載から本人に結びつく可能性
- 告知アカウント: 投稿の時間帯・文体・過去の発信
これらは住民税をどう納めても消えません。住民税の仕組みでできるのは住民税の経路の手当てまでで、ここを混ぜないのが正確な理解です。就業規則の副業規定の確認も別途必要です。
住民税の仕組みと自分で納付は共通編へ
通知書の経路・「自分で納付」の効く範囲と限界・無申告の罰則は会社に知られたくない人の共通編へ。
まとめ
- 同人の所得は自分で納付の対象側(事業・雑所得)。並行するバイト給与には効かない
- 通信販売には氏名・住所・電話番号の表示が求められる(特商法11条・施行規則23条1号)。住民税の手当てとは別の問題
- 「販売業者」に当たるかは個別の事情。当サイトでは断定しない
- イベント参加・頒布物・告知アカウントなど、税務と無関係の経路に税の手当ては効かない
次は「同人活動の会計ソフトの選び方」を予定しています。公開までは、経費と在庫の数え方を同人の経費一覧で確認してください。
