受託の帳簿には、他の副業に無い列がひとつ増えます。源泉徴収税額です。
源泉徴収の対象は204条の列挙で決まる
所得税法204条1項は、源泉徴収の対象になる報酬を列挙で定めています。1号の原文です。
原稿、さし絵、作曲、レコード吹込み又はデザインの報酬、放送謝金、著作権(著作隣接権を含む。)又は工業所有権の使用料及び講演料並びにこれらに類するもので政令で定める報酬又は料金
- 原稿料 → 明記されており対象
- デザインの報酬 → 明記されており対象
- 動画編集 → この列挙に「動画編集」という語はなく、取引の内容がどれに当たるかで変わります
つまり同じ受託でも、引かれる案件と引かれない案件が混ざるのが実務です。No.2795の税率(10.21%・100万円超は20.42%)で引かれているかどうか、案件ごとに明細で確認してください。当たるかどうか判断に迷う場合は、支払者側か税務署に確認する話です。
支払調書を待たずに自分で数える
支払調書は支払者が税務署に提出する書類で、本人への交付は義務ではありません。年明けに届くとは限らない前提で、
- 取引ごとの報酬の総額
- 源泉徴収された税額
- 入金日と振込額
を自分の帳簿に記録しておくのが確実です。申告で精算する数字は、届くかどうか分からない書類ではなく自分の記録から作ります。
受託でよくある経費
編集ソフト・ストック素材のサブスク
業務利用分は経費にしやすい
私用と兼ねるなら区分を。
取材・打ち合わせの交通費
記録があれば説明しやすい
資料書籍・参考教材
案件との対応を説明できる範囲で
パソコン・マイク等の機材
金額で扱いが変わる
10万円未満は全額・10万円以上は償却の話(No.2100)。
説明も区分もできない支出
入れない
No.2210の「収益とのつながり」を軸にした整理です。
[!IMPORTANT] 青色申告者の少額減価償却資産の特例(30万円未満)は、現行条文では「令和8年3月31日までに 取得した資産」が対象で、この期日はすでに過ぎています。高額な機材を買う前に、 国税庁のページで現在の適用期限を確認してください。
自宅作業の家事関連費
自宅の家賃・電気代・通信費は、No.2210の基準——「明らかに区分できる場合のその区分できる金額」——に限られます。作業専用の部屋や、業務専用の回線など、区分の根拠を作れる範囲で按分してください。
まとめ
- 源泉徴収の対象は204条の列挙で決まる。原稿・デザインは明記、動画編集は取引内容による
- 支払調書は届かない前提。総額と源泉徴収税額を自分で記録する
- 経費の軸は収益とのつながり。機材は金額で扱いが変わる
- 家事関連費は「明らかに区分できる分だけ」
次は会社に知られずに受託をやるにはです。

