ハンドメイドは「趣味で作っていたものが売れるようになった」という始まり方が多い働き方です。だから開業届の話は、どこまでが趣味で、どこからが事業なのかの線引きから始まります。
趣味の延長と事業の線引き
国税庁の通達(所得税基本通達35-2)の注書きが判定の軸です。
事業所得と認められるかどうかは、その所得を得るための活動が、社会通念上事業と称するに至る程度で行っているかどうかで判定する
そして同じ注書きは帳簿書類の保存を重要な材料として挙げています。年に数回、余った作品を売る程度なら事業とは言いにくく、継続的に制作して販売し、売上と材料費の記録を付けているなら事業側に近づきます。
継続的に制作して出品している
売上と材料費の記録を付けている
帳簿の保存は判定の重要な材料です。
年に数回だけ余り物を売る
事業と称する程度とは言いにくい形です。
通達35-2の判定軸に沿った整理です。個別の判定は税務署に確認してください。
開業届はいつまでに出すのか
「開業から1ヶ月以内」と書いている記事をよく見かけますが、所得税法229条の現行条文はこうです。
その事実があつた日の属する年分の所得税に係る確定申告期限までに、税務署長に提出しなければならない
国税庁の手続案内(A1-5)も「事業の開始等の事実があった日の属する年分の確定申告期限までに提出してください」としています。なお、所得税法の罰則の章(238〜243条)に開業届の提出に関する罰則はありません(確定申告の無申告の罰則は241条にあります。義務は別です)。
青色申告承認申請書のほうが先に締まる
開業届とセットで検討するのが青色申告承認申請書です。期限は国税庁A1-8のとおり、1月15日までの開業はその年3月15日まで・1月16日以降の開業は開業日から2ヶ月以内。開業届本体の期限より先に来ることがあります。
ハンドメイドは材料の在庫を持つ働き方なので、帳簿が整うと青色申告特別控除の価値が出やすい形です。
扶養や失業給付が気になる場合
配偶者の扶養に入っている場合、社会保険の被扶養者の判定に出てくるのは開業届の有無ではなく年間収入の見込みです(自営業は必要経費を控除した額で見ると日本年金機構が案内しています)。失業給付の受給中に販売を事業として始めると「失業の状態」に当たらなくなるため、開業届の前にハローワークへ相談してください。
まとめ
- 線引きの軸は「社会通念上事業と称する程度か」+帳簿の保存(通達35-2)
- 開業届の期限は「1ヶ月以内」ではなく開業した年分の確定申告期限まで(229条)
- 青色申告承認申請書(開業から2ヶ月以内)のほうが先に締まることがある
- 扶養は収入見込みで判定・失業給付受給中はハローワークに先に相談
次は職業欄に何と書くか、収入の基準はいくらから確定申告が必要かへ。

