コンサルの開業届は、書類そのものは他の職業と同じ1枚です。違うのは職業欄の先に何が待っているかでした。

多くの職業では、開業届の職業欄に何を書いても、その先の個人事業税に当たるかどうかがはっきりしません(漫画・文筆は法定業種の一覧に見当たりません)。コンサルは逆で、通知に名指しで列挙されている側です。

コンサルタント業は通知に名指しされている

個人事業税は、地方税法が定める法定業種に当たる事業にかかります。その「コンサルタント業」の中身を、総務省の通知(地方税法の施行に関する取扱いについて・道府県税関係)がこう定めています。

(15)コンサルタント業には、具体的には、企業診断士、経営士、経営管理士、経営調査士、財務管理士等の名称を用いて行われる経営コンサルタント業、技術士、設計コンサルタント、建設コンサルタント等の名称を用いて行われる技術コンサルタント業のほか、美容コンサルタント業、旅行コンサルタント業等が該当するものであること。

読みどころは2つあります。資格の有無で切っていないこと(「等の名称を用いて行われる」)、そして経営・技術にとどまらず美容や旅行まで挙げていることです。つまり「自分は診断士ではないから関係ない」とはなりません。

東京都主税局の法定業種の一覧では、コンサルタント業は第3種事業・税率5%です。

開業届の職業欄と個人事業税のつながり

開業届の職業欄に書く

決まった書き方の指定は無い(国税庁の様式にも「書き方」にも職業名の指定なし)

都道府県が業種を判定する

**名称ではなく事業の実態**で判定。コンサルタント業は**列挙されている側**

第3種事業・5%

ただし**事業主控除290万円**を引いた後の所得に対してかかる

判定は名称ではなく事業の実態で行われます。該当するかどうかの最終的な判断は都道府県税事務所です。

職業欄に何と書くか(経営/IT/技術顧問の書き分け)は次の記事で扱う予定です。それまでは職業欄と個人事業税の共通編を参照してください。

事業主控除290万円がある

税率5%だけを見ると重く感じますが、個人事業税には事業主控除があります。東京都主税局の記載は「年間290万円(営業期間が1年未満の場合は月割額)」です。

  • 事業の所得が290万円に届くまでは、個人事業税は出てこない
  • 開業した年は営業期間が1年未満になるので月割になる

計算式と、青色申告特別控除が個人事業税では引けないことは職業欄と個人事業税の共通編にまとめてあります。

事業税の申告は確定申告で足りる

「事業税の申告書も別に出すのか」という不安がありますが、東京都主税局はこう案内しています。

所得税の確定申告や住民税の申告をした方は個人の事業税の申告をする必要はありません。

ただし条件があって、同じ案内は「この場合には、それぞれの申告書の『事業税に関する事項』欄に必要事項を記入」するとしています。確定申告書のこの欄を埋めることが、事業税の申告を兼ねているという関係です。

期限は「1ヶ月以内」ではない

開業届の期限について、所得税法229条と国税庁A1-5はどちらも次の形です。

事業の開始等の事実があった日の属する年分の確定申告期限までに提出してください。

検索すると出てくる「開業から1ヶ月以内」は条文になく、数ヶ月経っていても今から出せます。ただし青色申告承認申請は別の期限で動くので、そちらは急ぐ価値があります(原文は開業届の共通編)。

事業か雑所得かは活動の実態で決まる

そもそも開業届を出す段階なのかは、所得税基本通達35-2の注が判定軸です。

事業所得と認められるかどうかは、その所得を得るための活動が、社会通念上事業と称するに至る程度で行っているかどうかで判定する。

単発のスポット相談が数件あるだけなら業務に係る雑所得にとどまる可能性があり、継続して顧問契約を持つ状態なら事業と説明しやすくなります。帳簿の保存が判定の材料として明記されている点も含めて、原文は共通編にあります。

まとめ

  • コンサルタント業は通知に名指しで列挙されている(資格の有無で切っていない・美容や旅行まで挙がっている)
  • 東京都では第3種事業・5%。ただし事業主控除290万円の後にかかり、開業した年は月割
  • 事業税の申告は確定申告書の「事業税に関する事項」欄を埋めれば足りる
  • 開業届の期限は「1ヶ月以内」ではなくその年分の確定申告期限まで
  • 事業か雑所得かは「社会通念上事業と称するに至る程度」で判定される

次は「職業欄に何と書くか」を予定しています。開業届の共通の手順は開業届の共通編へ。