このページは、フリーランスコンサルのクラスタ6本が根拠にしている原文を1か所に集めたものです。各記事の説明を読む前でも後でも、ここで条文そのものを確かめられるようにしてあります。
当サイトの運営者はフリーランスコンサルとしての実務経験がありません。そのため、 この記事は体験談ではなく一次ソースの突合で組んでいます。
コンサルで固有に効く根拠を集めた
コンサルの税務でつまずくのは、「コンサルタント」という言葉が法令にほとんど出てこないことに由来します。源泉徴収の条文にも、簡易課税の事業区分の表にも、この語はありません。それでも関係する定めはあり、別の名前で書かれています。
源泉徴収は条文ではなく政令に書いてある
所得税法204条1項2号は、弁護士・税理士などを列挙したあと「その他これらに類する者で政令で定めるもの」と委任しています。その政令が施行令320条2項で、ここに名前があります。
企業診断員(企業経営の改善及び向上のための指導を行う者を含む。)
資格の有無を条件にしていない書き方で、括弧書きが範囲を広げています。「コンサルは源泉徴収の対象ではない」という通説は、条文だけを見て政令を見ていないことから生じています。
税率と計算式、支払者が個人のときの例外(給与について源泉徴収義務を持たない個人が支払う場合)はコンサル報酬は源泉徴収されるのかに原文で置いてあります。
個人事業税は名前ではなく実態で判定される
地方税法の法定業種について、総務省の通知(道府県税関係)の第3章が業種の定義を示しています。この通知に名前があるのは経営コンサルタント業と技術コンサルタント業で、ITコンサルタント・システム顧問・研修講師という語は事業税の章に出てきません。
名前が無いことは「かからない」という意味ではありません。判定は書いた職業名ではなく事業の実態で行われ、判定するのは都道府県税事務所です。税率は第3種の5%、そして地方税法に事業主控除290万円の定めがあります。
→ 業種の当てはめと「診断士」を名乗れない理由はコンサルの職業欄に何と書くかへ。
税理士法が止めているのは「税務相談」
業際でいちばん近いのが税理士法です。52条は税理士でない者が税理士業務を行うことを禁じていますが、その「税理士業務」の中身は2条1項が定義しています。3号の税務相談は次のとおりです。
租税の課税標準等(…)の計算に関する事項について相談に応ずること
「相談に応ずること」自体が業務として定義されているので、無償かどうかではなく、何に応じたかで線が引かれます。弁護士法72条が「報酬を得る目的で」「業とする」を要件にしているのと要件の形が違う点は、読み比べると分かります。
→ 5つの資格法の原文はコンサルがやってはいけない業務の線へ。
守る側の定めもある(フリーランス法)
資格法は「やってはいけないこと」を定めていますが、同じクラスタで扱っているフリーランス法は逆に発注側に義務を課す法律です。報酬の支払期日についてはこう定められています。
当該特定業務委託事業者が特定受託事業者の給付を受領した日…から起算して六十日の期間内において、かつ、できる限り短い期間内において、定められなければならない
支払期日を定めなかった場合・60日を超える定めをした場合のみなし規定、受領拒否や減額の禁止もあります。「立場が弱いから条件は飲むしかない」という前提のほうが、法律の現状とずれています。
簡易課税の表に「コンサルタント業」の語は無い
消費税でも同じことが起きます。国税庁の事業区分の表でサービス業は第5種(50%)ですが、表に「コンサルタント業」という項目はありません。判定の仕方のほうにこう書かれています。
おおむね日本標準産業分類の大分類に掲げる分類を基礎として判定します。
つまり、名指しされているのではなく産業分類に当てはめた結果で決まります。インボイス登録と納税義務の関係、届出の期限は会計ソフトと請求書の選び方へ。
通説と食い違う3点
コンサル報酬は源泉徴収されない
政令に「企業診断員」がある
204条1項2号の委任先・施行令320条2項。資格の有無を条件にしていません。
資格が要らない仕事だから何を受けてもよい
5つの資格法が業務を制限している
税理士法52条・弁護士法72条・行政書士法19条・社労士法27条・金商法29条。
立場が弱いから条件は飲むしかない
フリーランス法に守る側の定めがある
明示義務・60日・受領拒否や減額の禁止。
いずれも本文に原文を引用しています。個別の当てはめは専門家・窓口に確認してください。
開業届の期限はこのクラスタでも同じ
所得税法229条が定める期限は「1ヶ月以内」ではなく、その事実があった年分の確定申告期限までです。これは職業を問わない共通の話なので、原文と青色申告承認申請書との期限差は開業届の共通編にまとめてあります。コンサル固有の入口(職業欄が個人事業税に直結すること)はフリーランスコンサルの開業届の出し方へ。
断定しなかったこと
一次ソースだけで一般化できなかった論点は、当サイトでは断定していません。
- 自分の報酬が源泉徴収の対象に当たるか — 判断するのは支払者で、業務の実態と契約の内容で変わります
- ITコンサル・研修が個人事業税の法定業種に当たるか — 通知に名前が無く、判定は都道府県税事務所が実態で行います
- 個別の案件が業際5法に触れるか — 対価の有無・継続性・業務の中身で変わります。有資格者に確認するか、提携して受ける形になります
- 簡易課税の事業区分 — 産業分類への当てはめなので、複数の形で請けている場合は税務署に確認してください
- インボイス登録の損得 — 取引先の構成と売上規模で変わります
数字や期限そのものは原文で確認できますが、自分がどれに当たるかは原文からは出てきません。ここを混ぜないのが、このサイトの書き方です。
職業をまたいで共通する根拠
職業に関係なく共通する部分(開業届の期限・確定申告の基準・住民税の仕組み・経費の考え方)は横断ガイドにあります。
まとめ
- コンサルの源泉徴収は条文ではなく政令(施行令320条2項「企業診断員」)に書かれている
- 個人事業税の通知に名前があるのは経営と技術のコンサルタント業。判定は名前ではなく実態、事業主控除290万円がある
- 税理士法が止めているのは「税務相談」という業務そのもの。弁護士法72条とは要件の形が違う
- フリーランス法には守る側の定め(明示義務・60日・禁止行為)がある
- 簡易課税の表にも「コンサルタント業」の語は無く、産業分類への当てはめで決まる
- 自分がどれに当たるかは原文からは出てこない。当てはめは窓口と専門家へ
これでフリーランスコンサルのクラスタは7本そろいました。入口から読み直すなら開業届の出し方へ。

